- 2025/07/05
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あまり知られていない話・ちょっと意外な話・昔の話・最近の話、等々、いろいろな情報を随時掲載していきます。
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昨年はH君のお墓参りに行けませんでしたが、今年は、約束どおり行って
来ました。
今年の9月8日は、ちょうど仕事が休みの日で、午前中にH君の眠る墓地を
目指すことにしました。
墓地は、今私が住んでいる家から車で20分くらい行った先の農村地帯に
あるのです。
しかし、今年もまた、雨でした。
ちょうど台風18号が接近していたせいもあり、道中ずっと強い雨が降って
いました。
私は、出たついでに、墓地近くのスーパーに寄ることにしました。
お供えの缶コーヒーは、いつも道すがら、墓地近くの自販機で買ったもの
ですが、今年はそのスーパーで買うことにしました。
さて、スーパーを出てみると、雨は小雨に変わっていました。
「今年は、ちゃんと墓参りができそうだな…」
私は、そう思いながら墓地に向かいました。
H君の眠る墓地は、国道から脇道に入ってすぐの場所にありました。
しかし、着いてみると、いつもは空いている村道にたくさんの軽トラが路駐
されています。
私の脳裏に、ふっと昔の記憶が蘇ってきました。
「あっ、そういえば、この日(9月8日)お昼近くに来ると、いつも農家の人たち
が何かしら集会をやってたんだっけな…」
墓地のすぐ隣には小さな自治会館があり、その敷地内にも何台か軽トラが
停められていました。
内心「しまった…、時間帯がまずかったな…」と思いつつ、せっかく小雨になっ
たことだし、また、往復小一時間の道のりを出直すわけにもいくまいと、私は
墓地入口の路地に車を停めてH君のお墓に向かって歩き出しました。
墓地入口からお墓までは歩いてほんの数十秒ですが、私は、あれっ?と
思いました。
「たしか、このあたりだったはずだが…」
H君のお墓あたりは荒れていました…。
雑草こそ刈られていましたが、いくつか並んだ墓石の表面はどれも白い粉を
ふいたようになって、かろうじて苗字は読めるものの、名前は判別できなく
なっています。
それに、以前墓石があった場所とはほんの少し位置が変わっているような
気がしたのです。
ここ数年H君のお墓には来ていなかったこともあり、もしかしたら、先般の
大震災の強烈な揺れで墓石が倒れたのかもしれない…と思いました。
ただ、墓石の裏側に、(昭和58年建立)と彫ってあるお墓があり、年号から
してそれがH君のお墓だろうと思い、しゃがんで合掌することにしました。
しかし、そうこうするうち、すぐそばの自治会館からざわざわと人いきれが
してきました。
どうも、お昼間際で集会は終わったらしく、十数人の年輩者たちが自治会館
から出てきたところでした。
中には、私のいる方をじっと見ている人もいます。
「こりゃ、ぐずぐずしてもいられないな…」
かつては、薮蚊を気にしながらも、しばらくはH君のお墓のそばに佇んでいた
ものですが、今回は車2台が交せないくらい狭い路地に車を停めていたこと
もあって、そう思ったのです。
私は、早々H君に別れを告げ、車まで戻りました。
よくよく見ると、自治会館から出てきた一台の軽トラが、私の車が移動するの
を待っているようでした。
ただ、私が墓地にいたせいか、その軽トラも特に私を急かすこともなく、ただ
じっと待っているようでした。
「また、来年な…」
ゆっくりと走り出してからルームミラーを見ると、待っていた軽トラも動き出し
ました。
「なあ、お互い様だよな…」
私は、特にハザードを点滅させることもなかろう…と、そのまま旧友の墓を後
にしました。
(2015年9月9日)