- 2025/07/05
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あまり知られていない話・ちょっと意外な話・昔の話・最近の話、等々、いろいろな情報を随時掲載していきます。
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誰にでも、一つや二つくらいは「苦手なこと」や「敢えて手を出さないこと」があるでしょう。
でも、その多くは「できるはずがない!」という勝手な思い込みによるもので、やってみたら意外と簡単に出来てしまった!なんてことも少なくはないと思います。
手前味噌ではありますが、私の場合、自分でできそうだと思うことは見よう見まねでやっつけてしまうので、水栓から水が漏れだしたりACコードが切れたりしても、いちいち業者に頼むことはありません。
でも、そんな私でも電子機器のプリント配線基板:P C B (printed circuit board) の半田付け作業ともなると、「いや…、ちょっと待てよ…」 などと思ってしまいます。
というのも、私は小学生の頃は模型とか工作が好きで、接続端子の半田付けなどは自己流でこなしていました。
でも、ラジオの配線基板の半田付けに挑戦したとき、熱で基板を焦がしてしまい、「こりゃダメだ…、基板の修理は専門業者に頼むしかない…」 と悟ったのです。
そのとき私は 「P C Bは熱に弱いので素人では半田付けなどムリ!」 と自分の中で決め付けてしまい、その後何十年もの間、一度もトライすることはありませんでした。
でも、最近 「目から鱗が…」 とでも言うべき出来事がありました。
それよりさらに数年前のことですが、私は、知人から古いデスクトップPCを譲り受けました。知人は棄てるつもりだと言うので、棄てるくらいならもらうことにしたわけです。
その際「いつ壊れるかもしれないよ…」 と言われましたが、私はだましだまし使い続けました。
そしておおよそ1年後、稼働中にHDDあたりからカリカリ、カリカリという連続音が聞えるようになってきて、そして、ある日とうとう起動しなくなりました。
私は、恐る恐るPCの筐体の中を覗いてみましたが、色とりどりの配線が蜘蛛の巣の如く張り巡らされていて、大小さまざまなコンデンサが視界に入ってきました。
そして、そのうち1つ2つコンデンサのアタマが膨らんでいました…。
私は、反射的に 「あぁ、こりゃ、もうだめだ!」 と思いました。果たして、私は、直そうという努力をいっさいせず、壊れたPCを見限ることにしました。
ただし、壊れたのは本体だけ(おそらく)なので、モニターは他のPCの予備として残すことにしました。
意外と知られてないようですが、PCとは自動車と同じく 耐久消費財 にほかなりません。HDDにしろ、モニターにしろ、日々消耗して行き いずれは寿命を迎えます。
調べてみると、液晶モニターの寿命はだいたい3万時間~5万時間だそうです。つまり、モニターの寿命は概ね5~6年、長くて10年前後と考えてよさそうです。
壊れたPCのモニターを予備に残した翌年のことですが、昨日まで普通に映っていたPCモニターが突然飛んでしまいました。言うまでもありませんが、PCとはモニターがなければお手上げです。
都合、仕方なく私は、予備にとしまっておいたモニターを引っ張り出しましたが、これまた古いので いつ飛ぶか予測がつきません。
つまり、古いPCを使い続けるということは、予備のモニターをせめて1台くらいはキープしておく必要があるのです。
かといって、いつ壊れるかもしれない中古PCのために、わざわざ新品の液晶モニターを買うか?とも思えます。となると、中古のモニターを買ってきて…という考えに至るのですが…。
中古のモニターなら、たまたま自宅から車で10分ほどのところに中古品買取(販売)のお店がありました。
その店では、いっぱし中古PCも売られているのです。保証書付きの中古PCはさておき、保証の付かない 「ジャンク品」 なら、端的に言って1桁安く売られていました。
ある日私は、中古モニターを探しに、そのお店に寄ってみました。中古モニターは1,000円から2,000円くらいでしたが、感覚的に何となく 安くはないな と思いました。
そのため私は、ひとまずとなりのジャンク品コーナーを覗いてみることにしました。
ジャンクのモニターは確かに格安で、800円から1,000円くらいで売られていました。でも、ちゃんと映るんだか、いつまで使えるか不明です。
買いか否か思案していると、ふと、同じコーナーに展示さていた小奇麗なデスクトップPCに目が留まりました。それは、NECのバリュースターで、とてもきれいな色の筐体でした。
PC本体とモニター・キーボード付きで、3,980円の値札がついています。ただし書きを読むと、ハードディスク付き、OSなし、「このままでは起動しません」 と書いてありました。
私は、ずいぶんとこのジャンクPCが気になりました。というか、気に入りました。
衝動買いしてもよさそうな価格帯ですが、ひとまず自宅に戻り、型番からその機種を調べてみることに…。すると、2003年製でHDDは80GB というものでした。
つまり、およそ10年前の機種ですが、私は 「HDDは再利用(転用)できるだろうし、液晶モニターは既存のPCに流用できるだろう。それで3,980円なら、むしろお買い得かも」 そう考えました。
しかし…、ジャンクコーナーに置いている以上、その店の専門職が 「直してから(保証付きで)売るには費用対効果が合わない」 と見限って放出した恐れが濃厚です。
私は、少し迷いましたが、それを買ってみることにしました。
果たして私は、モニターよりも80GBのHDDが再利用できるかどうか、真っ先に筐体の中を確認しました。
他メーカーのPCもそうでしょうが、NECのPCは実に親切に設計されていて、筐体の側(蓋)を外すにしても、HDDを取り出すにしてもほとんど手間はかかりませんでした。
しかし、ヒートシンク周りのコンデンサを見た瞬間、「あっ!やられた!」 と思いました。値札に書かれていた 「このままでは起動しません」 とは、このことだったのか!と思いました。
コンデンサは6つあり、そのうち4つ~5つ 「息絶えて」いました。
私は気を取り直して、とりあえずHDDをチェックしました。たしかにOSごとフォーマットされていましたが、物理障害もないようで充分再利用できそうです。
それと、内心私は、「NECだからあわよくばリカバリーが隠しパーティションに残っているかもしれない…」 と考えたのです。でも、そんな淡い期待はすぐに打ち消されましたが…。
そして、モニターは普通に活きていました。難なく別のPCに転用できそうです。
しかし、それにしても悔しいのは、コンデンサが死んでいること以外、目視する限りはどこにも異常(不具合)が見当たらないことでした。
私は、それから何日かNECのジャンクPCを放置していましたが、考えれば考えるほど、売った店に対して 「してやられた!」という気持ちを抑えることができなくなってきました。
いくらで買ったものであれ、ジャンク品は返品・返金がきかないものだからです。
でも、何事も、どういうこと(意識)がきっかけで奮起したりするかわかったものではありません。
私は、「よし、このジャンク品を直してやろうじゃないか!」 という気になったのです。
では、なぜ、そんなふうに奮起したかというと、実はWEBで徹底的に調べてみたからです。
それまで 「PCのマザーボードのコンデンサ交換なんて出来っこない!」 と思い込んでいたのですが、果たして、WEB上では 「マザーボード上のコンデンサ交換の仕方」が、意外と簡単そうに紹介されていました。
いちおう会社の知人に 「PC基板のコンデンサ交換に挑戦してみようと思うんだが?」 と話してみましたが、彼は即座に 「やめたほうがいいですよ」 と言いました。
そう答えた友人は、かつて、彼自身やってみてダメだったクチでした…。
でも、私は怯みませんでした。
買ってきたPCはまったく起動しないし、そのままでは 単なる 部品取り でしかありません。
素人作業で完全にマザーボードの息の根を止めてしまう恐れもありますが、どのみち3,980円で買ってきたジャンク品だし、ダメでもともとよ!私はそう考えたのです。
得てして、精密機器の修理にチャレンジしようと思っても、方法論(手順とか禁忌事項とか)がわからない、専用のツールがないから迂闊に出来ない、なんてことはよくあるものです。
かといって専用のツールを買い揃えるにはおもいのほか費用がかさむことも稀ではなく、 「直すより新しいのを買った方が安上がり」 なんてこともありがちです。
つまり 「やってみよう」 とは思うのはよしとしても、素人なりに 費用対効果 も計算しておかないと、ただの無謀なチャレンジに終わる恐れもあるわけです。
実際、段取りや作業にどれだけの時間を要するのか、また、必要なツールを揃えるのにどれだけ予算が必要なのか、あらかじめ確認しておく必要がありそうです。
私はまず、持ち合わせのない 「電子部品用の半田ゴテ」 を探しに、近在のDIYショップを覗きに行きました。在庫の有無と価格帯を確かめるためです。
果たして、電子部品用の半田ゴテは何種類か売られていました。プロ用は数千円もしますが、入門用の廉価品セットなら、ヤニ入り半田と半田吸い取り線付きが 840円で売られていました。
電子部品用の半田ゴテなんて、そんな頻繁に使うツールではないし入門用で充分です。私は迷わずそのセットを買うことにしました。
さて、マザーボードを取り外す前に、念のためPC筐体内部の配線をくまなく写真に撮りました。
というのも、色とりどりのケーブルは狭い筐体内で効率よく一部の隙もなく配線されていて、一度はずしてしまうと、どことどこがどう繋がっていたかわからなくなってしまいそうに思えたからです。
しかし、それぞれのケーブルは誤配線されないよう、形の違うソケットがついていました。
つまり、配線がわからなくなってしまったらどうしよう…というのは、単なる 「杞憂」 に過ぎませんでした。
そして、死亡したコンデンサをマザーボードから外す作業は、WEBで紹介されていたとおり、存外簡単に出来ました。
しかし、問題はそれからでした。
取り外したコンデンサは、6.3Vの 2200uFで、どうやらPC専用のようです。
実は、私は、電解コンデンサなんてどれもこれもいっしょだろう…なんてタカをくくっていました。
つまり、壊れたテレビや古いHDDデッキをバラせば、中古のコンデンサくらいいくらでも見つかるさ…などと安直に考えていたのです。
しかし、実際に壊れたテレビや古いHDDデッキをバラしてみても、PCと同じスペックのコンデンサなど1つも見つかりませんでした。
つまり、コンデンサというものは、形や大きさは同じでも、それぞれ 「似て非なるもの」 だということを初めて知ったのです。
私は、新品のコンデンサを買ってくるしかないな…と思いました。
新品のコンデンサは アキバ に行けばすぐに手に入るでしょうが、1個数十円のパーツを買うために高い電車賃を払って上京するのは納得がいきません。
地方都市に住む私は、秋葉原まで電車でゆうに2時間近くもかかるのです。
私は知り合いの電器屋さんを数軒当たってみましたが、なぜだかPC用のコンデンサは扱ってないと言われました。中古もないよ…と言われました。
新品のPCは売っても修理はできない…、ということのようです。
40年くらい昔にナナハンブームというのがあり、バイクの修理ができない巷の小さなモータースでさえ、平然と新車のナナハンを売っていたのを思い起こします。
まあ、それはさておき私は、新品であれ中古であれ 代替コンデンサが手に入らない…という現実に気付かされたのです。これにはちょっと考えあぐねました…。
でも、気を落とさずあらためてWEBで調べたところ、灯台下暗し!意外にも近在の街に プチアキバのPCショップが1軒あることがわかりました。
私は、次の休みの日、早速そのお店に行ってみました。
狭い店内には足の踏み場もないくらい中古PCや関連パーツが乱雑に置かれていて、気がつくと、それとほぼ同じことが天井から壁一面にかけて確認できました。
「この様子なら、電解コンデンサくらい置いているだろう」 そう思いました。
狭い店の奥から出てきた店長は40代~50代くらいの、いかにも…といった風体(ふうてい)の親父氏でした。
「電解コンデンサ? う~む、あるよ。いくつ欲しいの?」
アキバなら数十円、その店では1個100円でしたが、アキバまで買出しに行く手間と電車賃を考えたら安いものです。
親父氏曰く、「へえ~、初めて半田やるの? マザーを壊さないようにね…」 そう言って笑いました。
でもそれは嫌味な笑いではなく、「がんばってトライしなよ」 というような笑顔に思えました。
さて、いよいよ半田付けに臨んだわけですが、古いコンデンサを抜き取った跡、つまり スルーホール に新しいコンデンサのリード(足)が入りません。
WEB上の紹介にあったとおり、スルーホールが溶けた半田で塞がれていました。
スルーホール というのは、直径約0.5mmほどの穴で、その中に張り付いた半田を取ってやらないと新しいコンデンサの リード が入っていかない…というわけです。
これには、難儀しました。
都合、マチ針を半田ゴテで熱して、スルーホール内に張り付いた半田を溶かして0.5mmの穴を開ける作業 には数時間を要しました。
半田吸取り線を使う方法も試しましたが、存外思ったとおりにはいきませんでした。
YouTube で紹介されていた、「0.5mmの精密ドリルでスルーホールに穴を開ける」 という荒業も検討しましたが、それ用のツールを買うと結構高くつくので断念しました。
果たして、そういった段取り?には結構な時間を要しましたが、半田付け作業そのものは意外とイメージどおり簡単に出来てしまいました。
しかし、さらなる問題は(半田付け)が成功したかどうかは「再組立てして通電してみないとわからない」 ということでした。
電気の知識があればテスターなどで調べるでしょうが、私にはそういったスキルもツールもありません。
私はひとまず、PCを組み立ててみることにしました。
しかし、何となく、いきなり電源を投入するのはちょっと気が退けました。
どのみちHDDは(まっさら)状態なので、仮に通電したとしても、そこから再インストール ということになるのです。
私は、一計を案じてそのHDDを他のPCに換装し、先にOSをインストールしておくことにしました。手持ちの XP・SP2 です。
そして、そのSP2の入ったHDDをジャンクPCに取り付け、いよいよ起動してみました。
すると…、順調に起動したのですが、やったぁ!と思った次の瞬間、ストップエラーが…。
私はちょっとだけ途方にくれました…、ですが、冷静に考えたら別PCでインストールしたHDDだったからストップがかかったのです…。
しかも、ジャンクPCは そもそも XP・SP1 仕様だったようです。
私は、そのHDDを再度まっさらにして SP1をインスールしました。そうしたら…、難なくあっさりとセットアップが完了してしまいました!
これにはちょっと拍子抜けした感もありましたが…、どうやら コンデンサの交換はうまくいったということのようでした。
果たして、「出来っこない…という思い込みを自ら打破できたことに対する嬉しさ」 は後からこみ上げてきました。
思うに、電解コンデンサがパンクするに至るまでにはさまざまな理由や経過があったものと推します。また、電解コンデンサがパンクして周りの機器にどんな悪影響を及ぼしたかは不明です。
にもかかわらず、コンデンサの換装だけで復旧できたということは、単なる ビギナーズラック だったのかもしれません。
ただ、ひとつ勉強になったというか、確信して言えることは、出来っこない…とあきらめる前に、何事ももう一度 物心両面から再検証してみるべき だということです。
もっとも、考え方は人それぞれですから 「金はあっても時間がない」 という人は専門業者に修理を依頼したり新品を買えばよいでしょう。
しかし、私のように 「金はないが時間はある」 という人は、既成の思い込みを打破する意味でも こういったことにチャレンジしてみては?と思います。
先般の中古店では、再起不能?のジャンク品をつかまされ、「してやられた!」という忸怩(じくじ)たる思いをさせられました。
でも、その思いが「何くそっ」 という一念発起のきっかけとなったのは確かです。
そして実際、紆余曲折?はあったものの 「素人の分際でも低予算で直せた」 ということが、今一番小気味よく思えるのです。
ちなみに、その中古店に対しては 「してやったり!どうだ!」 という思いでいっぱいなのですが、「ジャンク品を直せた」 ということは敢えて黙っておくことにします。
なぜ?って、余計なことを吹聴して今後ジャンク品の値段が上がったりしたら困りますからね…。
都合、今回のことに味をしめて、 「2匹めの鰌(どじょう)」 でも狙ってみるか?などと考え始めています。
(2013年3月14日)
※今回の記事は、2013年3月14日に(HP傘鉾パート2)に掲載した内容を再編集したものです。
(2015年3月14日)