2011/09/10 Category : 雑記帖 驚くべき、テーピングの効力 昭和の終わり頃、オフィスのコンピュータといえば、ブラウン管モニター付きのごっつい装置がほとんどでした。それは、我々素人には立ち上げ方すらわからず、COBOLのようなプログラミング言語を理解したごく一部の人たちだけが利用(専従)できるものでした。つまり、その頃、私は素朴に「コンピュータ(の操作)なんて一生縁がなさそうだな」などと思っていたものです。一方、いわゆるワープロがオフィスに普及し始めたのもちょうどその頃で、私は「ワープロくらいなら…」と思い、独学で嗜むことにしました。初めて日本語キーボードと向かい合うと、おおよそたいていの人は当然のことのように「ローマ字変換」から入ろうしますが、私は「ローマ字変換だと1文字打つのに子音と母音と2箇所(キーの位置を)覚えてないとダメだな…。かな入力ならダイレクトに1文字打つだけだし一度覚えてしまえば後々楽かも…」と思い、「かな入力」を覚えることにしたのです。これは私の持論ですが、日本人たる以上、英文をタイピングする機会なんてそうざらにはないものです。反して、日本語をタイピングする機会のいかに多いことか…。つまり、アルファべットキーの配置を覚えるより、かなのキー配置を覚えた方が後々楽なわけです。かな配列は一見難しそうですが、一度覚えてしまえば存外簡単なものです。※もっとも「両刀遣い」の方がベターでしょうが…。ところで、昭和の終わりから平成の始めにかけて、書類作成はまだまだ「手書き」が主流の時代でした。そのため、ワープロによる書類作成は専従の(女性)キーパンチャーに頼んでいたのです。つまり、当時は私のようなぺいぺいの社員がワープロのキーを叩いていたりすると、ともすれば「遊んでるのでは?」と訝られるような風潮がありました。しかし、ウインドウズの出現と液晶ディスプレイの普及により、平成の始め頃から状況は一転しました。すなわち、PCは(テレビや車同様)1人1台が当たり前の時代に突入し、必然的に書類作成や表計算などは、個々のPCによる作業が主流になって行きました。とはいえ、私は数年前からワープロをかじっていたので、さほどカルチャーショックを受けることもありませんでした。とりわけ、日本語キーボードのキー配列はおおよそ憶えていたので「ワード」を使いこなせるようになるのにさほど日にちはかかりませんでした。その後、巷のバブル期が終わるころから、社内ではいよいよペーパーレス化が進み、ますますPCへの依存度が高まっていきました。朝一番からPCを立ち上げると、Eメールのチェックから始めて、次はイントラネットの閲覧、そして自分のタスクの書類作成等を続け、午前中だけで目は疲れきってしまいました。にもかかわらず、昼休みはPC付属のゲームをして過ごしていました。当時流行っていたのは、ソリティアやフリーセルなどです。午後も同様、PC作業の合間に来客(商談)をこなし、都合毎日7~8時間もPCと睨めっこ、などという日々が当たり前のようになりました。PCと睨めっこと言っても、当然のことながら右手はずっと「マウス」の操作をしているわけです。PCを長時間駆使する人はたいてい「VDT症候群」を経験するのでは?と思いますが、私の場合まず眼精疲労から始まり、そのうち首の周りが痛むようになり、やがてひどい肩こりに陥りました。そういった症状が何年か続きましたが、そのうち症状も断続的(不定期)になり、一見(VDT症候群を)克服できたのか?と思いきや、ある時期から、私は右腕全体が痺れるようになりました。四十肩とか五十肩とかよく耳にしますが、私も例外ではなかったようです。最初の頃は肩や腕に湿布をしたり、マッサージなどしてしのいでいたのですが、そのうち恒常的に右腕全体が痛むようになってきました。「こりゃいかん、右腕の使いすぎかな」と思い、しばらく左手でマウスを操作したものですが、ここぞという(細かい)作業のときはどうしても右手で操作するしかありませんでした。それからさらに日にちが過ぎ、ある日の朝、目が覚めて起きだしてみると右腕全体が麻痺?していました。麻痺といっても右腕を動かすことはできるし、指先も動きます。ですが、腕全体が痛みます。車に乗ってドアを閉めようとしても(右手に)力が入らずドアが閉められません。運転しようにも、右手でハンドルが回せないほど、右腕全体が痛かったのです。「こりゃ、どうしたものか?」と思いました。(経験上)私には「整形外科へ行ったって、どうせ…」という思いがありました。※ 心に残る医師の一言 ご参照かといって「この痛み方は、骨(のズレ)には関係なさそうだし、整体へ行っても効果は期待できないかもしれないな…」と思いました。ところで、これも何かの巡り合わせなのか、それより少し前に、こんなことがあったのです。ある日のこと、職場の先輩のM氏がこんなことを言ってきました。「うちの近くに有名な『テーピング』の先生がいるらしくて、この前たまたまぎっくり腰やっちゃって半信半疑で行ってみたんだけど、確かに腰の痛いのが治った(止まった)よ。整体もいいけど、船橋までは行ってられないしね…。もし急にどこか痛くなったら、○○さんも試しに行ってみたら?」「テープを貼ったら腰の痛いのが治った??」 私は、熊先生の荒療治を思い浮かべ、「テープを貼っただけで腰痛が治るわけないだろ!」と、内心呆れました。しかし、いつも懇意にしているM氏からの助言なだけに「そう邪険にするわけにもいかんな…」と思いました。また、「まあ、今のところ腰も痛くないし、しばらくは、そんな奇妙奇天烈な治療法のお世話になることもなかろう」と思いました。私は、そのときのことを思い出し、M氏に、右腕が麻痺してしまったことや整形外科は信用できない旨話してみました。M氏曰く、「それって、もしかしたら急性の五十肩?じゃないの? たぶん、テーピングはそういう症状にこそ効くはずだから、早速行ってみるといいよ!」私はあらためて「テーピング療院」を紹介してもらいました。果たして、その日は右腕の痛みをこらえながら何とか仕事のノルマをこなし、会社から車で15分くらいのとこにあるテーピング療院を訪ねてみたのです。そこは、大きめの自宅の1階部分を治療院にアレンジしたような造りでした。なぜか受付には誰もおらず、その奥はすぐ診察室になっていました。恐る恐る入ってみると、女子高生が10人くらいとそれに混じって何人か年配の男女がいました。女子高生と言っても、街中を徘徊?しているような女子高生ではなく、明らかに体育会系といった娘たちで、よく見ると中学生も混じっていました。やにわに、女子高生の中の1人が、「先生、誰か、来たよ!」と奥に向かって呼びかけると、奥の治療室から、先生らしき人物が現れました。テーピングの先生とは、50代始めくらいの、いわゆる「ぼんぼん」みたいな風体(ふうてい)の人でした。「どうしました?おや、右腕ですね…。上衣とシャツを脱いでください」ぼんぼん先生は、私が何か言いかけたのをさえぎるように、「私はプロですよ。私クラスになると初診の患者でも、表情や歩き方を見れば身体のどこが悪いのかが判るんですよ」そう言って、自信に満ち溢れた笑みを向けてきました。それから私は、先生に言われるまま、(激痛を堪えながら)腕を上げたり下げたり、肩を回したりさせられました。そのとき既に、私の右腕は前方45度くらいまでしか上がらなくなっていました。しかも、ひどい痛みでした。先生、曰く、「(症状は)判りました。右肩と首がやられていますね。これからテーピング治療を始めますが3週間で腕は上がるようになります。ただし、毎日来てください。」そして、ひととおりの「理学療法」をした後、腕や肩、首、一見右肩には関係なさそうな左脚の一部にもテープを貼られました。私は内心、「ずいぶんタカビーな医者だな」と思いましたが、3週間で…という言葉を信用(期待)してみようと思いました。というのも…、テープを貼っただけで腕の痛みは抑えられ、右腕もそこそこ上げられるようになっていたからです。(詳述は避けますが)それから、私はほぼ毎日会社帰りにその療院に寄り、確かにちょうど3週間めで右腕がふつうに上げられるようになりました。完治?したのはさらに1ヶ月後くらいだったと思います。聞くところによると、ぼんぼん先生は、口も達者なら腕も達者で、テーピング治療師としては「五指」に入る(レベルの)人なのだそうです。ただ、県内で五指なのか全国で五指なのかは不明です…。詰まるところ、私は、実際に自分で体験してみて「テーピング治療」とは侮れないものだと確信しました。ただし、私は「(熊先生の)整体」という荒療治も体験しているので、症状によって自分なりに勝手に使い分け?をするようにしています。つまり、骨格の歪みやズレなどは整体で治し、打撲や捻挫など(筋肉系)の症状はテーピングが好適だと思います。敢えて言うなら、私にとって整体は「剛」であり、テーピングは「柔」の(究極的な)治療法だと思います。ぎっくり腰もこのテーピングで治せるとのことですが、やはり相応に「通院」する必要がありそうです。テーピング治療の仕組み(原理)について、私が調べた限りでは、こういうことです。「皮膚の直下には毛細血管とリンパ腺が網羅されていて、(テーピングによって)皮膚に皺ができると、血液やリンパ液の流れが速くなり、そのため自然治癒力がアップする」のだそうです。なお、よく調べてみると、ぼんぼん先生のテーピングは「スパイラルテープ」を使用する治療でした。それとは別に、「キネシオテーブ」を使用する治療法もあるようですが、詳しくは知りません。よく、力士やスポーツ選手などが肌色系の幅広のテープを貼っていたりするのをテレビで見かけますが、おそらくあれがキネシオだろうと思います。なお、「スパイラルテープ」での治療は、実際は単純にテープを貼るだけではなく、さまざまな理学療法を組み合わせています。低周波から始まり、遠赤外線?照射、(やけどしそうなほど熱い)蒸しタオル、場合によってはアイスパック、などなど、トータル1時間くらいの治療をします。この「スパイラルテープ」を扱える治療院は、調べてみると全国各地にあるようです。整形外科や接骨院など、いくら通っても(症状が)治らないという人、スパイラルテーピングを試してみようと思うなら一度訪ねてみては?ただし、これもまた、整体同様、万人に必ず効果があるとは言い切れないようですので念のため。(2010年9月1日)(2014.10.2 タイトル変更) PR